虫歯ゼロも可能な時代

ひところに比べ、虫歯菌の横暴ぶりが衰えた感じの現在。 予防に新知識や新手法も加わった。いま虫歯ゼロなら、完全予防も可能な時代になってきている。

虫歯を予防するのに、何がいちばん有効か?歯磨きではない。磨くのがムダというわけではない。しかし、虫歯の場合、犯人のナンバーワンは砂糖、それも一日の回数が、最大のポイントだ。 細かい議論は省略して、わかりやすく説明しよう。砂糖を口に入れると、とたんに歯の表面が、 かなり強い酸性になる。ニ十分ほど、エナメル質の中のカルシウム分が溶け出すくらいの酸性がある。砂糖を食べる回数が問題。口をすすいでも、砂糖がいったん歯の表面に達していれば、この酸性化は防げない。 注意点を二つ。まず、この一回で虫歯が発生するのではない。歯はそんなに弱くない。溶け出したカルシウム分は、補給されて、いったん元に戻る。短時間に何度も砂糖を食べなければ、虫歯にはならない。 注意の第一。砂糖の量には関係ない。どっさり食べても、ほんのちょっとでも二十分ほど酸性になる。ジュース一口でも、チョコレートどっさりでも、同じだ。回数が重要なのは、ある保育所の調査で、みごとに裏付けられた。十年ほど前、子どもの虫歯の激増で世の中が大騒ぎしていたとき、 おやつを午前と午後と各一回にするだけで、子どもの虫歯がほとんどゼロになる研究が出た。おやつには、甘いものがあれこれ入っていたのに。 むろん回数だけが大切というわけではない。甘味に慣れ親んでしまうと、 「低甘味」への道が基本。虫歯はまず防げないと考えていい。「低甘味」への習慣づけが、基本として大切だ。おやつの中身は、菓子類やジュース、コーラ類。多くは、砂糖系列の甘味料が 使われているため、虫歯を誘発しやすい。その上、自動販売機の普及などで、これらの甘味源が子どもでもすぐ手の届くところまで来ている。予防上、このことは大問題だ。この面の衛生教育は、「三歳ぐらいまで、ジュース類を与えるとき、水で半分ぐらいに薄めてやるといい。この時期に通常の半分の甘味に慣れさせてしまうと、市販のジュースそのままでは、甘すぎて飲めなくなります。低甘味への習慣づけの具体策だ。ダラダラとおやつを与えるのも、よくない。農家などで、農作業の留守中、幼児が泣かないよう、缶ジュースに釘で穴をあけて与える。その子は、例外なくひどい虫歯になる。だらだら与えると、回数が無限大になるに等しい。 一昨砂糖の害を避け、虫歯にならない甘味料で代用する手はどうか。低甘味への過渡期には、効果をあげることもできよう。虫歯予防を含め私どもの調べで、総合してよさそう。アスパルテームなどだった。このほかに虫歯防止用として考えられるのは、ソルピットハソルピトール、キシロ ―ス、カップリング・シュガ ー、フラクトオリゴ糖(ネオシュガー〉、グリチルリチン(甘草エキス)、パラチノースなど。サッカリンは種々の点から、避けたほうが賢明と思えた。旗色が悪いのは、磨いたら虫歯が減ったという成功例が、多人数の統計ではあまり見当たらないこと。ブラシだけでは、効果が薄いようだ。フッ素は是非論争が激しく、フッ素塗布は「有効だが万全ではなく、体への害もゼロといい切れない」というところ。

子どもの歯の暁合面の予防には、溝埋めという手法もある小児歯科などでやってもらう。 日常生活の中で、応用したいのは、デンタル・フロス。特に子どもや若い人の前歯のように、乳頭がぴったりと歯間鼓形空隙をふさいでいるときは、歯間ブラシが入らない。