金冠について

ろくに説明もせず「とにかく金が一番」と強調するだけで、金冠を勧め、健保の金パラ冠は歓迎しない歯科医は、歯の健康より歯科医の収入第一ではないかと、疑問を持たれでも仕方あるまい。たとえ説明しても、一般論としての金のよさに終始して、「あなたの、この歯にとってとくに金冠にしたい理由を述べないのなら、やはり信頼感はぐんと減って当然だ。たぶんそんな歯科医なら、熱意が見える歯磨きのワンポイント指導なども、やってくれまい。そうであれば、記者なら他の歯科医に行く。 丹念につくった冠を、丹念に調整して歯に入れたとき、その冠が金か金パラかという差が影響して、二次う蝕発生の分かれめになることは、 現実にはほとんどないだろう。同一歯科医、同一歯科技工士の手になった場合、だれにもわからない「運」の要因が大きく響いてくるくらいの、微妙な差しかないといえよう。 金かどうか、その差が響いてくるのは、かかった当の歯科医や技工士の腕前が、金パラなどでは限界の精度まで追求でき、しかも、その精度をすこしでも上げたいと考える場合に限つてのことだ。 冠縁の精度追求の専門家でさえ、二次う蝕防止がまず完全とされる。すき間に仕上げられるのは、半分とも一割しかないともいわれる。現在のこの技術水準では、金冠か否かの微妙な差を問題にするのは「きわめて歯を大切にする」ケ-スといっていい。もしそうな ら、金か金パラかで迷う前に、よい歯科医にかかるための努力を自分の歯のために払うべ きだと言いたくなるような患者が、正直いうと多い。 金には、以上述べたほかにも、人体に無害、食べ物の味が変わらない、 ニッケルクロムは避けたい。